今回のよみものは、自転車をこよなく愛するニシキヤキッチン社員、五十嵐さんのお話。
フランスでの旅のお話と二人乗りの自転車のこだわりについて熱く語っていただきました。
にしき食品営業部の五十嵐友樹です。普段はニシキヤキッチン直営店舗のスタッフとして働いています。
今回ご紹介するのは、私の趣味、自転車のこと。学生時代、自転車キャンプ旅にどっぷりハマったことがきっかけで自転車に心底惚れ込みました。今回は一番の思い出、フランスでの旅の話と、二人乗りの自転車、タンデムバイクの話をしたいと思います。
フランスで行われる、4年に一度の大会
2015年の夏。世界で最も歴史のある自転車の大会に参加するため、フランスへ渡りました。パリから大西洋の港町、ブレストを往復する、その距離はなんと1200km。距離を日本で例えるなら、東京から神戸の往復といったところでしょうか。まさに三日三晩、不眠不休で走り続ける、過酷なロングライド。
制限時間は80時間以内。この制限時間を選び、出走した日本人は10名程度だったかと思います。
大会は4年に1度。世界中の猛者が集う大会なので、当然プロが使うような超軽量の自転車が集まるんだろう、そう思っていました。
しかし、実際はそうではなかったのです。そこはまるでファッションイベントのよう。半世紀以上も前の古い自転車や、美しい流線形ボディをもつベロモービルで参加する人までいる。沿道には観客が詰めかけ、チェックポイントの街はどこもお祭り騒ぎ。そんな雰囲気と、どこまでも続く丘の景色。小麦畑と乾いた風に流される、ちぎれ雲。
過酷なロングライドで感じる不安や疲労、眠気さえも忘れさせてくれました。参加を決意してから3年がかりで、やっと掴んだこの大会の参加権。無事、77時間18分で完走しました。本当に素晴らしい旅路だったと思います。
フルオーダーメイドのタンデムバイク
「あの景色の中を、思いっきり楽しめる自転車で、もう一度走りたい。今までとは全く違う感覚で乗れる自転車がいい」。そう思って製作したのが、二人乗りの自転車“タンデムバイク”です。プロのレーサーが競技で使うような、攻め思想の設計。イタリアンな戦闘飛行艇をイメージした真っ赤な塗装。そんなフルオーダーメイドの自転車を作りました。
タンデムバイクのおもしろさは、ペダルを踏む時に二人の息を合わせること。片方がパワフルにペダルを踏んでも、ちっとも進んでくれません。完走するための戦略と協調。その計算や加減の難しさがタンデムバイク独特の楽しさだと思います。
私の日課
休日にゆるゆると乗る、そんな乗り方もOK。でも乗り込むためには平日の夜だって貴重な時間です。仕事の後はまっすぐ家に帰り、ニシキヤキッチンのレトルトカレーでさっと飯を済ませます。麻辣キーマカレーが大好き。花椒がピリッときいた辛口のカレーに元気をもらい、ピッチピチなジャージに着替えます。飛び石があるので、夜でもサングラスは欠かせません。そして人目につかぬようそっと走り出す。
これが私のいつもの日課になっています。
正直、走り続けるのはラクではありません。風に吹かれ、雨に降られ、坂に阻まれ、疲労に襲われ、予期せぬアクシデントまで起きます。それでも、その先にある景色を見たい。見渡せる景色の先に行ってみたい。その気持ちが前に進む力になっているんだと思います。そのことを教えてくれたフランスのあの景色。もう一度フランスで走ることも諦めていません。旅にゴールなんかなくて、ずっと私の中では続いていくものです。いつかきっと、必ず帰る。そんなことを思いながら、今年の秋もまた街へ走り出したいと思います。